そもそも行政書士とはどういう人をいうのでしょうか。制度そのものは江戸時代からあったと言われています。江戸時代には、まだ、字を読めない人、書けない人が多くいたので、その人達に代わってやってあげたのが始まりだと言われています。このような人が代書人と呼ばれるようになったのが明治の初めのことです。その後、代言人と呼ばれ分離したのが弁護士で、司法代書人として分離したのが司法書士です。
行政書士という資格は、ちょうどイギリスのソリシター(solicitor)に相当する資格と言ってよいでしょう。ちなみに、私の事務所の代表アドレスは
info@solicitor-net.com ですが、このアドレスもソリシター(solicitor)がその所以です。イギリスのソリシターは事務弁護士と言われ、書面の作成や公判の準備をしたりするなど、法定外の一般法律事務を扱います。依頼者はまずソリシターに相談し、ソリシターを通じてバリスター(法廷弁護士)に事件を依頼するのが通常です。
行政書士は行政書士法で定める試験に合格し、各都道府県の行政書士会を通じて日本行政書士連合会に登録しなければなりません。各都道府県の行政書士会に加入することは強制であり任意ではありません。そういう意味で、弁護士会、司法書士会の場合と同様です。私も東京都行政書士会に加入しておりますし、会費も支払っています(笑)。
なお、行政書士は、正当な理由がなければ依頼に応じなければならないという義務を有します(11条)。後述するように、行政書士の職務は公共性を有しますし、業務を独占しているという意味でも当然の義務といえるでしょう。また、正当な理由がなく、業務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならないという義務を有します(12条)。行政書士を信じて一身上の秘密や業務上の秘密を打ち明けて相談しているわけですから、みだりに依頼者の秘密を漏らしてはならないのも当然の義務といえるでしょう。
行政書士法第1条は、「この法律は、行政書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することをその目的とする。」と定めています。行政書士の存在理由があくまでも国民の利便に資するものであることを定めています。業務を独占させることによって、行政書士が利益を得ることができるようにすることがその目的でないことはいうまでもありません。
行政書士法第1条の2は、「 1 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公庁に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類(実施調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。 2 行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。」と定めています。行政書士の業務が@官公庁に提出する書類、A権利義務に関する書類、B事実証明に関する書類等、書類を作成することが主な業務であることを定めています。そして、この書類の作成が行政書士の独占業務であることを定めていますが、弁護士法、司法書士法など他の士業に関する法律がある場合には、行政書士はその業務を扱うことができません。
行政書士法第1条の3は、「行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りではない。 一 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続について代理すること。 二 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。 三 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。」と定めています。特に、第2号は「民民代理」といわれており、2002年の改正で、代理人として契約を締結する業務が追加されたのです。なお、第1号は作成した書類の提出代理ができることを、また、第3号は書類の作成について相談業務ができることを定めています。
行政書士の主たる業務は、前述したように、@官公庁に提出する書類、A権利義務に関する書類、B事実証明に関する書類の作成をすることです。以下具体的に例を挙げて述べます。
@ 官公庁に提出する書類
官公庁に提出する書類としては、国や都道府県等の行政庁に提出する許可申請書、登録申請書、免許申請書等があります。官公署とは、国及び地方公共団体のすべての役所を指しますから、官公庁に提出する書類のすべてが行政書士の業務ということができます。具体例として、建設業許可申請書、宅地建物取引業免許申請書、旅行業登録申請書、産業廃棄物収集運搬業許可申請書、風俗営業許可申請書、自動車保管場所証明申請書、貸切バス事業許可申請書、一般貨物自動車運送事業経営許可申請書、タクシー事業許可申請書、介護タクシー事業許可申請書、告訴状、告発状、著作権登録申請書、帰化許可申請書、永住許可申請書、在留資格変更許可申請書、在留資格更新許可申請書、在留資格認定証明書等があります。
A 権利義務に関する書類
権利義務に関する書類としては、売買契約書、賃貸借契約書、消費貸借契約書等の契約書、遺言書、遺産分割協議書、離婚狭義書等の協議書、交通事故、傷害事件等の示談書等があります。これらは、将来発生する紛争を未然に防ぐために作成するものであり、予防法学的な役割をもっています。そのため、一般には弁護士の独占業務であると考えられがちですが、行政書士が行政書士の資格で作成することができます。
B 事実証明に関する書類(実施調査に基づく図面類を含む)
事実証明に関する書類としては、内容証明書、会社の定款、会社の議事録、貸借対照表・損益計算書などの財務書類、会計帳簿があります。なお、実施調査に基づく図面類とは、前述した各申請書に添付する各種図面をいいます。具体例としては、車庫証明に必要な駐車場の図面、風俗営業許可申請書に添付する必要のある見取り図等をいいます。
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